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Burlesque meets Sentence
01・群青さんと紅ちゃん
「蒼の欠片」の前の話。もちろん捏造。
長兄は家にいないことが圧倒的に多かった。
何をやっているのかも、よくわからない。
けれど青い髪の鮮やかなその兄は、紅が自立して家を出るその日の朝になって、ふらりと帰ってきた。ふらりと、と言っても結構必死そうだったけれど。出発に間に合わないとでも思ったのだろうか――確かにギリギリだったが。というかそれほど遠くまで出かけていたのだろうか。
自分がどういったことをしているのか、兄はなにも言わないから、紅もなにも聞かない。
長兄は到着早々、何やら紅を心配しているらしい言葉を呟きながら色んなものを紅に持たせてくれた。変なお土産も混じっている。もっとあげたかったけど荷物になるから止めといた、と言って最後に掌におさまるくらいの小さな巾着袋をくれる。
「これは?」
「石。帰る途中にね、売ってるとこを見つけて――ああ、高くないから」
袋の大きさの割には少し重いし音もする。たくさん入っているのだろう。
ありがとう、と言って紅はそれを大事にしまった。馬車に積まれた荷物のほうではなくて、自分の手持ちの鞄の中に。
「元気で。あまり迷子になるなよ」
長兄の割には(と言ったら失礼だろうか)口数少ない、餞別の言葉だった。
紅は頷いて馬車に乗る。出発の間際、ちらりと家の方を見ると、長兄だけが家の前で見送っていた。あまり見送りがたくさんだと恥ずかしいし寂しくなる――他の家族は大体、そういった紅の性分を知って見送りに出ないのだろう。昨日のうちに餞別も言葉ももらったし、そう遠くにいくわけでもない。
なかなか会う機会がない長兄の鮮やかな髪色が見えなくなったときになって、紅は彼からもらった小さな巾着袋を開けてみる。
「―――」
綺麗な石たちだった。でもそれよりも紅の心を動かしたのは、その石の色だ。
赤や青に緑、紫、橙――どれも美しい鮮やかな色。それらが小さい袋の中でひしめきあっている姿はまるで、
(・・・・・・普通に帰ってこれる距離じゃない)
それでも少しだけ涙が出そうになった自分を戒めて、紅は巾着袋の紐を締める。
一人暮らしが始まってからは、家に帰って出迎えてくれるのはこの八つの石たちだ。
両親ときょうだいたちの、優しいまなざしの色。
もどる * 2009/3/18
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