エンディング/

 

 記憶の中に、夢の中のおぼろげな指先に、ずっと残っていた。
 それは消えることのない灯火。
 夢から現実へと、おれを導いてくれた。


 追い風が吹いたような気がして振り向く。
 今にも泣きだしそうな、なぜか怒ったような、ゆらゆらと揺らめく炎のような瞳。
 ずっと待っていた。
 ずっと追いかけていた。
 おれを燃やすひと。
「もう後戻りなんてできないわ。ずっと、そうだったけど」

 心臓のあたりから巻き起こる感情の渦が何なのかも分からずに、おれはただ笑っていた。
 ああ、これは燃えさかる火だ。
 きっともう、消えることはない。

「ひどいわ。どうして、わらうのよ」
「あなたが好きだから」

 抱きしめるにはまだ早い、その細い手を取って、ふたりで雑踏を抜けていく。



 東へ向かう渡り船で男女が待っていた。
 浮は手を繋いだおれたちを見て満面の笑みを浮かべ、唄は興味深そうにただじっと見ている。

「連れて来た」
「おう。よくやった朱鳥」
 浮はにっこり笑って、おれたちを渡り船に乗せる。
 彼女はなにも言わずに、ただおれの手をぎゅっと握り返して、唇をかたく結んでいる。


 東へ向けて、船は進みだした。




fin.

 



 



 



 

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